人の心の声に耳を澄ますことが音を聴くということ~Eテレ課外授業ようこそ先輩 長谷川櫂

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俳句なんて興味なかったけど、釘付けになった。

NHKのドキュメンタリー番組 Eテレ 『課外授業ようこそ先輩』(金 午後7:25~7:48)。
さまざまな世界で活躍する著名人が先生になって、母校で授業をするというもの。
今までにチラッと観たことがあったが、今回ははじめて終わりまで観た。
それもガン見状態だ。

今日(1/29)の先生は、俳人 長谷川櫂(はせがわ かい)さん。
『古池に蛙は飛びこんだか』という著作のほか、句集『虚空』(読売文学賞)、『俳句の宇宙』(サントリー学芸賞)など、たくさんの俳句の本を書いてるらしい。
らしい。
そう、私は全然長谷川さんのことを知らない。
俳句も書かないし。俳句の本も手に取ったことさえない。
最後に学校で教わったのは、たしか高校だろうか。
私の俳句の知識はその程度だ。

日常のワンシーンをカメラのシャッターを切るように、俳句にする。

たまたまチャンネルをかえてたら、手が止まる。
(番組が始まって5分経った頃のようだ。)
私が目を離せなくなったのは、
長谷川さんが母校に校庭から入っていくシーン。

A6かB5ほどのちっちゃなリングメモにボールペンで、
母校に来たキモチを俳句にしてた。
カメラのシャッターを切るように、
ことばをつくってる。
私には言葉を綴るではなくて、作ってるっていうように見えた。

日常を切り取る感じ。
俳句って、そんなことをするのか?

日頃、スケッチで日常のシーンを切り取りたいと思ってる私。
驚いてチャンネルを替えられない。

子ども達の純粋なキモチが映像に溢れてた。

『心でとらえた音を俳句に』
これが今回のテーマ。

俳句
『○○○○○
あああああああ
おおおおお』

○の5文字(上の句)を、
下の句から想像してみる、

とか。

川原で音を見つけて、耳でつかまえて、
スケッチブックに感じたままを書き留めて、俳句にしていく、

とか。

小学生たちが、長谷川先生と一緒に、ことばを探していく。
キモチを探していく。

川原で見つけた音を、スケッチブックに書き留めた内容もまた興味深い。
子どもによって、横書き、縦書き。
箇条書き。
シャリシャリ、ジャリジャリなど音の表現もいろいろ。
皆ちがうのだ。

俳句の五七五に落とし込む前の、感じ取った音のイメージを書き込んだスケッチブック。
私にはそれがもはや俳句のように映った。

いろんな声が聞こえてたり、
昔の風景が見えたり、
自分の姿が見えたりするから、
そういうのを“言葉”でつかまえる。
自分が何を感じてるか、
それを気づくことが大事だと思う。
俳句はこれを詠めばいいんだとわかってくるから。
(長谷川櫂)

切ないほどまっすぐな子ども達の姿が見える。

パキスタンから日本に来て9ヶ月の男の子。
ひらがなを教わったばかり。
上手に日本語を話すなぁと感心して観てた。

長谷川先生がこの子の俳句を説明するシーン。
「ことばの中に遠慮深げなところが見える。外国から来ていて日本の中で、自分の位置を見つけようとしてる。その子どもの気持ちが句の中に見える。」
と長谷川さん、うっすらと涙を浮かべてたように見えた。

亡くなったひいおばあちゃんの笑い声を句にした女の子。
長谷川先生から「ひいおばあちゃんの笑い声は覚えてる?」と訊かれる。
女の子は答えた。
「ひいおばあちゃんはずっと病気だったから覚えていない。」
長谷川先生「どうして、ひいおばあちゃんは微笑んでみたいに感じたんだろう?」
女の子「天国は癒されるところだから、ほほえんでいる気がした。」
長谷川先生はクラスのみんなに向かって言う。
「実際に行ったのは川原の草が生えていたり、鳥が鳴いて音がするところだったけど、大きな世界を想像した。先生はそれはとてもいいことだと思いました。」

素直に感じたことをそのまま出してる子ども達の表情が映像に流れた。

俳句をつくることは、心の声に耳を澄ますこと。

授業の最後に長谷川先生が言う。

耳で聴こえない音も、耳を澄ますと聞こえてきます。
人の心の声に耳を澄ますことが、音を聞くということ。
これは君たちが生きていく、長い人生の中でとても大事なことです。
それはきっと君たちの人生の助けになるはずです。

番組締めのナレーションが流れる。
「音を聴き、想像することはココロの世界を開くこと。子供たちが長谷川さんから受け取った大きな贈り物でした。」

テレビで久々にいいものを見せてもらえた気がした。
主役の長谷川櫂さんがやはり言葉のプロというのもあるかもしれないが、ひとに教えるのがお上手なことに驚いた。子どもの目線で真摯に向き合う。オトナと同じように接してた。その人柄が映像から溢れてた。

俳句、みなさん始めてみませんか?
NHK Eテレ『課外授業ようこそ先輩』、DVDで毎週録画にしようっと。(ガッティ)

長谷川櫂さんのWEBサイトはこちら。
NHK Eテレ課外授業ようこそ先輩 長谷川櫂さん詳細ページ

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