誰かがあなたを大事に思っている。

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電車でとなりに座ったおばあちゃんの話

画材を買いに行った新宿からの帰り道。
夕方4時半をすぎた。
東京は正午から雨が降り出していた。
かなり強くなっている。

副都心線の車内に乗り込むと、
おばあさんの横に座ることになった。
カートを足のまえに置いている。
荷物がたくさんだ。

(母くらいの年齢のかたかな)

一見するとなにか習い事の帰りのようだ。

渋谷駅でたくさんの人達が降りていき、
また乗り込んでくる。

となりのお母さんがよこにいる女性と話しだした。
(友達がいるようにはみえなかったけど)

偶然乗り合わせた年配の女性に話しかけたようだ。

わたしのとなりに座っている女性の声がすこし大きい。
(耳が遠いのかな)

話している様子から
渋谷から乗り込んできた女性のほうがすこし若いみたい。

となりのお母さん「昔の洋服はカシミアが入ってたりするとクリーニングに出すとけっこうお金がかかりますね。
いまは普段着はもっと手軽になりましたわね。ほんと時代が変わりました」

渋谷から乗った女性「そうですね。気楽な服装になりました」

日頃の話しが続いていく…。

となりのお母さん「低音が聞こえなくなった。以前はフルートを吹いていたんですが」

渋谷から乗った女性「振動から音がわかったりするようですが…」

となりのお母さん「ほかのひとと一緒に演奏するので迷惑をかけてしまう。出だしが遅れたり。もう演奏できなくなりました」

「でもね、家族はいいですね。心配してくれるから。きょうも池袋から乗るとき、娘と孫が車内まで来てくれて、ここに座ってって」

「家に着いてたら電話してねって言ってくれるんです」

向かいの窓に映るとなりのお母さんを見た。
とてもうれしそうにニコニコしていた。
それを見てわたしまで暖かくなってくる。
うれしい気持ちになった。

わたしも自分の母がひとりで電車に乗る時は心配になる。
とくに雨の日は。

よこに座って話しを聞いていると、こちらまで気持ちがやわらいだ。
わたしは電車を先に降りた。
暗くなった空から冷たい雨が降っている。
でもこころのなかには温かい色が拡がっていた。

fluteフルート

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