「カメラは見た目が100%!」~『1961’s Photographer』で写真家 赤城耕一さんに聞いてみた。

アート
赤城耕一さんの作品。会場で撮影。

『1961’s Photographer』~写真家 赤城耕一さん編

8/17(木)、富士フォトギャラリー銀座。
写真展『1961’s Photographer』の最終日。
会場で赤城耕一さんを見つけた。
わたしは赤城さんのフィルムカメラの本を読んでいた。
お名前だけは知っている。
ご本人に思い切って聞いてみた。

銀塩カメラを使いなさい!: アカギが選んだ名機62+名玉レンズ48 赤城耕一著

いったいカメラはなにを買えばいいのでしょうか?

私「写真をこれから始めようとしているひとに一言アドバイスをお願いします。どんなカメラを選べばいいんですか?やっぱりフィルムカメラのほうが写真のことをよく勉強できるんでしょうか?」

赤城耕一さん
「フィルムカメラであろうと、デジタルカメラであろうと全然関係ないですよ」

私「そうなんですか」

赤城さん
「僕は長いこと写真をやっていますから、フィルムカメラがいっぱいあるんです。それを無駄にしたくないのでフィルムカメラも使います。フィルムカメラの可能性もあると思っているので」

赤城さんが首からかけているカメラを説明してくれる。

「これはブローニーというちょっと大きいフィルムなんですけど、プリントしても非常に調子がよく出るものですから。いろいろと挑戦する姿勢をもっていないと…」

私「時間があるときにはスナップをお撮りになるそうなんですが…」

赤城さん
「(会場に展示されている作品を指して)、これもスナップです。日々、使っているのはデジタルカメラ。持って歩くのが大変。これも中判カメラでも小さいもの、二眼レフとか、ハッセルでも、一眼レフでも小さいものを使うようにしています」

私「こういう縦に長いカメラですね」

赤城さん
「そうそう」

私「かっこいいですよね」

赤城さん
「カメラをどんな基準で選ぶかというと、単純に言うと“かっこよさ”です」

私「えっ、見た目ですか(笑)…」

赤城さん
「(即答で)そう、見た目!いま、そういう時代。カメラの機能で選んでも仕様がない。自分が見て美しいもの…」

私「インターネットで見ると、どんな新しい機能があるかの説明ばかりなので…。どれを選んでいいのかわからなくなるんです」

フィルムカメラへの愛情

赤城さん
「展示している作品を見ながら、写真によって、カメラが違う。外国製のカメラもあるし、日本製のカメラもある。自分で見たってカメラによる違いなんてわからない。理屈をいうことはできても、撮れた写真はどこのメーカーのカメラか関係ないですね。とくにフィルムカメラは…」

私にもわかるように、赤城さんが丁寧に説明してくださる。

赤城さん
「私がフィルムカメラを使う理由はさらに詳しくいえばいくつかあります。
カメラ自体の寿命が長く、フィルムがある限り使えること。
道具としての存在感としての魅力がデジカメより大きいこと。
出来上がりまでのプロセスに楽しみがあること」

「中判カメラも中判デジカメよりフォーマットが大きくて、
レンズの焦点距離が長いから、独自の雰囲気が得られる」

これを聞いて、赤城さんのフィルムカメラの本から感じられることに合点がいった。
フィルムカメラへの愛情だ。

赤城耕一さんの作品。会場で撮影。


私「わたしは、楽しそうに笑っているひとを撮りたい、スナップを撮りたいんですが、おすすめのカメラってありますか?」

赤城さん
「フィルムカメラ?デジタルカメラ?」

私「フィルムのほうがいいとか関係ないんですか?」

赤城さん
「フィルムカメラのほうがいいとか、全然関係ない。僕はデジタルカメラだと毎日モニターで写真を確認する。画像処理とか、それが面倒だなと。仕事を離れてまでそんなことをやらなきゃいけないのかって」

「(カメラは)デザインがすべて。自分が気に入ったカメラが一番使いやすい」

私「シャッター音も、シャッターを押した感触もメーカーによって違うのはわかります」

「そのなかで自分の好きなシャッター音のカメラを買うんですよ」
と言って、ニヤッと赤城さんが笑う。

私「この写真展の写真家の皆さんが初心者用一眼レフで撮影しても、一般のひとの写真とはちがうというのはわかります。それだったら、カメラなんてなんだっていいんだって思います」

赤城さん
「なんだっていいっていうのは、デザインが気に入っているカメラということです」

私「日頃、お仕事はどんなジャンルを撮影されているのですか?」

赤城さん
「雑誌と広告です。ほとんど使っているのはオリンパスのマイクロフォーサーズのOM-D EM-1」

私「いま、巷で一番人気がある、売れているカメラですよね」

赤城さん
「どうして使っているか。軽いから。一眼レフはほとんど使っていない。フィルムカメラは一眼レフ使っていましたけど。仕事で一眼レフはほとんど使っていないです」

私「お仕事では人とかモノとかを撮っていらっしゃるんですか?」

赤城さん
「そうですね。多いのは“ひと”、ポートレートです」

私「スタジオで?」

赤城さん
「スタジオもあるし、外でもあるし」

私「モデルさんとかを撮る?」

赤城さん
「モデルさん、女優さんを撮ります」




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今日、会場で最初にインタビューしたのが赤城さんでした。
そろそろ時間だ、帰ろうとする私に、
赤城さんがニコニコして声をかけて下さった。
「(ほかの写真家)みんなは、カメラ選びをどう言ってた?」

私「赤城さんと同じでした。どれでもいいんだよ、好きなカメラにすればいいって」

赤城さん「やっぱりね」
そう言ってニヤリとしてた。
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赤城さん、お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。

いつも読んでいた本の著者の、写真家 赤城耕一さん。
私のような初心者の質問にも気さくに答えていただき、感謝です。
「カメラ選びは見た目だよ!」
これを聞いて、目からウロコ状態でした。
お話ができてとても楽しかったです。
ありがとうございました。

赤城耕一写真日録

赤城さんとお話するのに夢中で、ご本人のお写真を撮影していないのに気づかなかった。
それがちょっと残念。
次回の赤城さんの写真展で、撮影させてもらおうっと。
(ガッティ)

ズームレンズは捨てなさい! 〜3万円単焦点レンズで世界を変える〜赤城耕一著

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