「写真を選ぶ眼が大事」~『1961’s Photographer』写真家 山下恒夫さんに聞いてみた。

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写真を選ぶということ

写真家 山下恒夫さん


8月17日(木)。
今日は、富士フォトギャラリー銀座で開催されている展覧会『1961’s Photographer』に行ってきた。

先週の土曜日(8/12)、『1961’s Photographer』ではトークイベントが開催された。
そのなかで山下さんのスナップ写真の話しが印象に残った。
ご本人にお話を聞いてみたかった。

会場では写真家自身が自分のベストショットを選ぶコーナーがある。
山下さんはモノクロの女の子が座った写真を選んだ。

山下恒夫さんの写真。会場で撮影。


中学生のときに撮った。
まるでプロの写真家が撮影したようだ。

お話を伺った。
理科室での撮影だったそう。
当時の撮影秘話も聞けた。

私「この写真はコンテストに応募しなかったのですか?」

山下さん
「出せばよかったね。写真を選ぶ眼が当時なかった。大人になって(過去の写真を)選ぶと、(いい写真が)発掘されたりする」

写真を撮影するのと同じくらい、撮った写真を選ぶ技術が重要なんだそう。
子供が写真コンテストに応募するとき、子供自身が選ぶのと、大人が選ぶ写真はちがう。

今回の展覧会で何を展示するのかを、A4でプリントした200枚から、自分のコーナーの6枚を選んだ。

山下さん
「6枚の組み合わせも無限なわけだから…。今のベストを選んだ」
2017年のコーナーには、男性の横顔の写真。

山下恒夫さんの写真。会場で撮影。


私「漁師さん?」

山下さん
「ちがう。多摩川を見ている。すっごいイイ顔してるんだよ。カッコイイんだ。藤竜也みたいな…」

どんな状況で、
どんなことを感じてシャッターを押したのか。

それを写真家ご本人から聞けるとうれしい。
撮影したご本人の眼になった気分になれる。

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私はスナップ写真が好きだ。
山下さんから“人を撮る”という話題のなかで、
木村伊兵衛さんの名前が出た。

私は以前、木村伊兵衛さんの写真を銀座で見たことがある。
テレビで木村さんのことは見て知ってはいた。
スナップの神様。

作品を見た。
戦後の日本、東京下町、大阪で撮影された写真。
楽しそうに縄跳びをしている子供。
紙芝居を大勢の子供たちが囲んでいる光景。

レンズを見て、恥ずかしそうに笑っている。

何十年も前の写真なのに、つい昨日、撮影されたかのよう。
その空気に驚いた。
時間が止められていた。
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そのときのことを山下さんに話した。
私「子供に信頼されてないとあんな写真は撮れない」

山下さん
「昔の写真家は子供と一緒に遊んだとか書いてある。撮られることに慣れちゃっている。カメラを気にしなくなるくらい。名人たちの子供の写真って、ほんとうまいですよ」
「荒木(経惟)さんの太陽賞受賞作の『さっちん』とか調べてみたほうがいいよ、すごいから」

私「写真をうまくなろうとしたら、やっぱりいい写真を見るのが一番ですか?」

山下さん
「名作を見るに越したことはない…」

これで満足してちゃいけない

私「今日はすみません。お話を聞かせていただいて…」

山下さんが恥ずかしそうに言う。
「すみません…。自分が知っていることを伝えるのはなかなか難しいよね…」

「こんなレベルでみんな満足しちゃいけないんだ。木村伊兵衛さんだって、僕達よりもずっと若いときに撮っている写真でしょ。これ(今回の出展作品)は途中経過。満足してちゃいけない」
キリッとした表情になった。
そしてニコっと笑った。



山下恒夫PHOTOGRAPHY

#1961sPhotographer #山下恒夫

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