目次
1.千代田区のねこのお祭りって?
2.ちよだニャンとなる会の香取さんが登場する。
3.ぶんねこの会 代表 市原さんに聞いてみた。
4.会場はねこグッズでいっぱい。
5.ガッティのMUSIC CAFE~ちよだ猫まつり2016編
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1.千代田区のねこのお祭りって?
千代田区は、行政とボランティアが一体となって「飼い主のいない猫」問題に取り組み、全国に先駆けて「猫の殺処分ゼロ」を実現している。その千代田区が猫のお祭り(2/20,21)を開催するので行ってみた。
場所は千代田区役所。
世田谷区民の私。
千代田区役所には初めて行く。
九段下駅を降りて、徒歩5分だ。
着いた。
役所のイメージとは程遠いオシャレな場所だ。
「ほぉ~」と思わず、見上げる。
すぐ横には皇居が見えてる。
「こりゃ、千代田区役所はすごい所にある。」
この日は初日、2/20(土)。
あいにくの雨だったが、会場にはお客さんで溢れてる。
ブースもいっぱいだ。
ハンドメイドのねこグッズ、メーカーの猫商品など、ネコ好きにはたまらない。
今回のイベントの主役“ちよだニャンとなる会”のブースを見てみる。
Tシャツやマグカップなど、ちよだニャンとなる会のオリジナルねこグッズが販売されてた。
グッズの売り上げの利益は全額が飼い主のいないネコ達に使われる。
これはいいじゃないか!
私はクッキーをいただきました。おいしい。
1Fには常設のパン屋さんがある。
そこでコーヒー、パンもいただいた。
会場は1Fで、冷たい風が吹いてくるのでかなり寒いので、ここで座れてお茶できたのはありがたかった。
壁にはみなさんから募集したねこ写真が一面に飾られてる。
イベントスペースでは獣医師の先生のセミナーがあったり、
クラシックのミニコンサートがあったり、
イベントが盛りだくさんだ。
2.ちよだニャンとなる会の香取さんが登場する。
一般社団法人 ちよだニャンとなる会 副代表 香取章子さんのトークが始まる。
「千代田区との協働の取り組み~5年連続殺処分ゼロの背景」のテーマでお話が始まった。
野良猫たちの厳しい現実
「野良猫は野生動物ではない。飼い主がいないネコたち。人が終生責任をもって飼育しなければならない動物。日常に当たり前にいる動物ではない。本当はひとが飼うべき動物なんです。」
「猫を捨てたら動物愛護法違反。でも猫の遺棄は後を絶たない。」
「ねこはネズミ算ならぬネコ算で増えて行く。1回の出産で生まれる子猫は3~6頭。年2~3回出産する。避妊去勢手術を行わない限り、繁殖を抑えられない。」
「飼い主がいるかどうかに関わらずネコは愛護動物。猫の虐待は犯罪。2年以下の懲役、または200万円以下の罰金。行政が猫を捕まえて処分していいという法律はない。」
「殺処分される猫の6割以上が子猫。環境省によれば、平成25年に全国の自治体の施設で殺処分された猫は99,566頭。このうち、59,387頭は子猫。殺処分の削減には不妊去勢手術が鍵になる。」
「千代田区では、去勢・不妊手術が行われていない猫を“飼い主がいない猫”と呼んでいる。手術済みの、共生している猫、苦情もなくその地域の人達に可愛がられて大事にされている猫を“地域猫”と呼んでいる。」
「ちよだニャンとなる会」が発足する。
「千代田区では2000年から『飼い主がいない猫の去勢・不妊手術費助成制度』が実施されている。」
「なぜ『飼い主がいない猫の去勢・不妊手術費助成制度』が設けられることになったのか。千代田区も、かっては猫の苦情が多かった。特に問題だったのが“餌やり”トラブル。猫嫌いの人からも、猫好きの人からも、何とかしてという声が上がっていた。」
「千代田区のボランティアがつながり、2001年ちよだニャンとなる会が発足。」
「ちよだニャンとなる会は、千代田区の事業が始まる前から存在していた動物愛護団体ではない。行政と協働で飼い主がいない猫の問題に取り組むために、区が集めたボランティアが組織した団体が、ちよだニャンとなる会。思想や趣味、嗜好があるかたやっているのではなく、動物愛護管理法に従い、区の方針に従って常識的な範囲で、猫の問題に取り組んできている。」
「千代田区は区内外の動物病院に協力を依頼。行政、ボランティア、獣医師の3者が協力するシステムが出来上がった。」
「殺処分を減らし、共生社会をめざすなら、TNRが効果的。Trap(捕獲)/Neuter(去勢・避妊手術)/Return(元の場所に戻す)。このTNRは欧米などで行われている。千代田区では2000年からTNRを実施している。今年で16年目になる。」
「TNRは行政だけではできない。千代田区は区民を対象に普及員(ボランティア)を募集した。区がボランティアを募集したことが、他の自治体ではないことかもしれない。」
TNTA(捕獲・手術・人に馴れる・譲渡する)へ
「2014年10月、一般社団法人ちよだニャンとなる会設立。」
「最近では、TNRからTNTA(捕獲・手術・人に馴れる・譲渡する)に。大規模再開発により地域猫が生きられる場所が失われてきている。行政とちよだニャンとなる会が協働で譲渡を推進している。」
「傷病猫のレスキューもする。千代田区の猫は東京都動物愛護相談センターで取り扱わない。傷病の猫も千代田区保健所とちよだニャンとなる会が協働でレスキューして、動物病院に搬送している。」
「千代田区は殺処分ゼロを実現している。15年間で2,500頭に手術。2011年以降、千代田区から東京都動物愛護センターに猫が行くことはない。つまり、“殺処分ゼロ”。現在もゼロを継続中。」
最初は区の募集で集まったボランティアの皆さんが、千代田区のもとで活動を続け、ついには一般社団法人化するまでにいたった経緯が説明された。
そして、「殺処分ゼロ」を実現している。
行政主導でボランティアが組織されて、活動を続けてきたのに驚いた。
有志の人たちが集まったボランティア団体だと思っていた。
最近のねこブームとは、このイベントはちがうのだ。
野良猫たちの路上生活の過酷さ。病気であったり、交通事故であったり、都会で危険の中で懸命に生きている実情。
千代田区という都会の真ん中で、現実に目にしている内容をじかに聞くと、言葉がなくなる。
聴衆も静まりかえり、熱心に耳を傾けてる。
行政が先導してボランティアを集めて、猫の問題に取り組んでいく様子は、ほかの地域でのモデルケースになる。
今、猫の問題に取り組んで、頑張っている人達への励ましになったと思う。
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野良猫の問題のつらさは当事者しかわからない
私は世田谷区にある自分の家のまわりで、ずっと野良猫の不妊去勢手術を自費でしてきた。
もう30匹近くになる。最近はもう増えていない。
10年前に今の家に越してきたが、それまでも同じ地域に住んでいた。
しかし野良猫を意識したことはなかった。
野良猫問題に関わる人を、ただねこ好きな人としか思われていないように思う。
そのままにはしておけない切実な事情があるのに。
千代田区の実情と、私の見ている家の周りの状況は必ずしも同じではない。
だが、ちよだニャンとなる会の活動の様子を聞いて、見て、勇気づけられた。
3.ぶんねこの会 代表 市原さんに聞いてみた。
会場内のブースをいろいろ見て回っていたら、ぶんねこの会に足が止まった。
今日は千代田区のお祭りなのに、文京区のボランティアの方々なのか。
自分は世田谷区、千代田区以外の区なので、ちょっと話が聞きたくなった。
「ぶんねこの会」は、東京都文京区を中心に活動するボランティアグループ。
文京区の「動物との共生社会支援事業」に連動し、平成22年に発足。
“人と動物とが豊かに共生する地域社会の実現”を目指し、
不幸な猫を増やさないための活動や、
動物の適切な終生飼育を推進する活動を、行政との協働で行っている。
(ぶんねこの会ホームページから引用)
ガッティ「どんないきさつでこの活動を始められたのですか?」
市原さん
「地域において野良猫を迷惑に思っている人とその同じ猫を可哀想に思い餌をあげている人がいますが、その温度差が気になって個人で地域猫活動を始めました。その後推薦により文京区の登録ボランティアになりました。そこで行政と協動することになり、情報の共有や動物病院との連携がスムーズになり、より活動しやすくなりました。また平成22年に文京保健所の肝いりで登録ボランティアたちの団体を結成することになり、当時の保健所の担当者が「ぶんねこの会」と命名もしてくださいました。」
ガッティ「具体的にはどのような活動をされているのですか?」
市原さん
「文京区や隣接区の飼い主がいない猫を、捕獲して、避妊去勢手術をして、元にいた場所に戻す(TNR)活動、その活動で出会った猫たちの里親探し、猫を保護したいという方たちの捕獲のお手伝いや飼育相談等です。活動は会員が直接調査して開始する場合もあれば文京保健所からの要請や区民から直接依頼もあります。」
ガッティ「活動をされていて、大変だったなぁってことはありますか?」
市原さん
「日中は仕事があり、また飼い主のいない猫の活動も夜のほうが活発になるため、調査時間は夜の方が多いです。そのため不審者や虐待者と間違えられ警察に通報されたり、ボランティア=猫の餌やりと誤解され一方的に怒鳴られたりしたこともあります。」
ガッティ「活動をされていて、うれしかったことはどんなことですか?」
市原さん
「警察に通報したり活動にクレームをつけてきた人たちが、この活動を理解し協力者になってくれた時です。理解が進むと逆に感謝され、会にご寄付をくださった方もいらっしゃいました。里親がみつかり幸せになった猫たちや、その猫を家に迎え幸せになったとお知らせくださる里親さんたちとの出会いも嬉しいし、この活動により飼い主のいない猫が増えず、猫の問題に困っていた人も餌をあげていた人たちも楽になったと双方からお知らせ頂いたりするとまた嬉しいです。」
ガッティ「今後、どんなふうに活動が進んでいけばいいと思っていますか?」
市原さん
「猫の問題に困っている人も可哀想に思い餌をあげている人もあと一歩近づき、またその間に行政やボランティアが入ることにより、地域猫の問題を客観的に一つずつ解決していきたいと思います。殺処分0を連続5年間達成している千代田区の活動に学び、地域での人と動物の豊かな共生に向けて、会員や動物に心を寄せてくださる人たちと共にこれからも文京区内で頑張って活動をしていきたいと思います。」
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私も以前、家の近所の野良猫を調査しに来た、世田谷区のボランティア団体の調査に同行したことがある。
その方々も今回市原さんから聞いたことと同じことを言っていた。
その頃、私は自分だけで自宅の周りにいる野良猫の避妊去勢手術をしていた。
ねこが好きな人ばかりでない。
犬の散歩で置いていかれる糞の苦情を、
野良猫のせいにする人もいた。
保健所にクレームだけ言って、何もしない人。
私より以前から住んでいるのに、見て見ぬふりをしていた人達。
どうして自分たちだけがこんな目にあわないといけないんだろう。
そんな苦しいときに、ボランティア団体の方が来てくれた。
うれしくて、ほっとして涙が溢れた。
市原さんと話をしていて、そのときのことを思い出した。
“ぶんねこの会”の人達から理解してもらって、励まされる人がきっといる。
いつかの私みたいに。
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4.会場はねこグッズでいっぱい。
茶香炉がおもしろい!
かわいい猫でいっぱい。
つい惹きつけられる。
陶芸で作られてる。
中野良子さんのブースだ。
猫鈴を発見した。
私が気に入ったのは茶香炉。
実際には、中に火のついた小さなロウソクを入れる。
(下の写真↓)
お茶の香りを楽しむのだ。
リアル猫ヘッドは大人気だった。
佐藤法雪【猫科】生徒作品のブース。
これが本物みたいで、どうしても近くで確認したくなる。
佐藤法雪さんのリアル猫ヘッドをかぶれるというイベントが大人気だった。
↓↓↓
5.ガッティのMUSIC CAFE~ちよだ猫まつり2016編
近藤研二さんソロライブ
11:30から近藤さんのライブが始まるので、それに間に合うように家を出てきた。
NHK Eテレ『2355』『0655』の音楽、ももくろの編曲もしている。
近藤さんちの猫も捨て猫で、10ヶ月になるそうだ。
長毛種でノルウェイジャンフォレストキャットに見た目は似てるらしい。
演奏が始まる。
1.Eテレ0655の「toi toi toi」(ギターインスト)
2.Eテレ2355の「顕微鏡で覗く世界」
3.ねこのふみふみ
このソロライブはインスト曲のみということだったそうだが、この曲だけ歌あり。
近藤さんの歌とギターが始まると、一気に場が和む。
ゆるい感じがよかった。
ライブスケジュールのチラシは急遽、手書きで配布された。
かわいい猫のイラストが描いてある。
誰もが聞いたことのある曲を演奏してくれる。
4.バッハ「主よ人の望みの喜びよ」
5.映画『ニュー・シネマ・パラダイス』メドレー
近藤さんのソロアルバム『子猫のロンド』から。
6.誕生日
7.おじいさんの11ヶ月
ここで山田稔明さんが登場。
最後の曲は山田稔明さんが歌で入り、近藤研二さんはギターで。
Eテレ2355から。
8.眠れねこねこ(G:近藤研二/Vo:山田稔明)
子猫のロンド/近藤研二 ~ kitten rondo/kenji kondo ~
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山田稔明 with 近藤研二
17:30からは、山田稔明さんのライブ。近藤研二さんがギターでサポート。
山田さん「今日は猫の歌だけ歌おうと思います。」
1.太陽と満月
2.猫町オーケストラ
山田さんは、13年一緒にいた愛猫(ポチ)がなくなり、ペットロスになったことも話していた。
しばらくして、そのポチに似た猫が山田さんのところに現れた。
名前をポチ似なので、ポチニ、訛ってポチミになったそうだ。
山田さん(右)と近藤さん(左)。
2人ともただ猫好きだから一緒に演奏するようになったわけではない。
近藤さんの猫も山田さんの猫と2ヶ月違いで亡くなった。
家も近かったこともあり、2人は愛猫のことで共感することが多かった。
猫にまつわる2人の話は、会場の人達にも沁みこんでいた。
山田さんの小説『猫と五つ目の季節』。
この本を神保町のねこ本専門店『にゃんこ堂』がブログで紹介してくれ、それが縁で今回、ちよだ猫まつり2016でライブをすることになったそうだ。
3.ポチの子守唄
「ぐっすり眠ればいいさ~、ゆっくり休めばいいさ~。。。」
この歌詞ではじまる。
この曲がこの日聴いた曲では一番、山田稔明さんらしい曲だと思った。
近藤さんのギターがよく似合う。
山田さんが日向の猫(小説『猫と五つ目の季節』)を朗読する。
朗読の後、すぐ曲が始まった。
4.日向の猫(『新しい青の時代』)
なんとも切ないイントロがこの場に似合う。
この曲でのコーラス部分“ラララ、ラララ、ララーララ・・・”
2人の息も合ってきて、たまらない。
山田さん
「亡くなってから時間が経っても、iPhoneの待ち受け画面はポチのまま。
そのあと来たポチミに申し訳ないのですが。」
13年一緒にいて亡くなったポチに似た、ポチミを歌にした新曲が披露された。
5.きみは三毛の子(新曲)
お2人とも、立川にある猫返し神社(阿豆佐味天神社 立川水天宮)に行ったことがあるそうだ。
猫返し神社詳細ページ
ポチの一周忌の追悼でつくった最新アルバムから。
6.my favorite things(『the loved one』)
7.ハミングバード(『新しい青の時代』)
新曲も聴けた。
日頃は別で活動している二人。
息が合って、音楽のカラーも、キャラも違うからか、
よくまとまっていて、特にハーモニーには感動した。
ちよだ猫まつり2016。
行ってよかった。
猫に感謝だ。
太陽と満月/山田稔明
ポチの子守唄/山田稔明
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取材にご協力いただいた『ぶんねこの会』代表 市原さん。
お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました!
最後に、この記事を読んでくれたあなたに感謝です。
Thanks! (ガッティ)
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