『東海道中床屋ぞめき』~床屋さんは面白いのだ!~写真展『1961’s Photographer』で写真家 林朋彦さんに聞いてみた。

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床屋さんを撮りたい!

林 朋彦さんの作品。会場で撮影。


ガッティ「今は広告撮影をされているのですか?」

林朋彦さん
「会社員です。文藝春秋で。元は写真部で雑誌の写真を撮っていました」
「展示している作品は、個人で撮影しているものです」



ガッティ「ライフワークですか?」

林さん「趣味みたいな(笑)」

ガッティ「びっくりしたんですが、浮世絵みたいな、広重の東海道五十三次のような」

林さん
「広重のように、日本橋から京都まで、実際に歩いて床屋を探して。『撮影してもいいですか』って入っていって撮っています」

「以前に東海道を歩いたことがあった。そのとき、スナップを何枚も撮った。でも、アタマのなかで全然…(ピンとこなかった)。もう一回行ってみて、なにか撮りたいなって思った時に、前に撮ったスナップで、床屋さんの外観だけをよく撮ってた。じゃ外観がオモシロそうだから、内観を見たらもっと面白いんじゅないかって。肝試しみたいな感じで」

私「肝試し(笑)」



林さん
「いきなり行って、撮らせてくれるかなって。やってみた。そうしたら思いのほか、撮れて。もちろん、(撮影を)断られることもありましたけど。それをまとめて、エプサイトギャラリー(新宿)で個展をやった」

林 朋彦 写真展 「東海道中床屋ぞめき」
エプサイトギャラリー(新宿) 2014年8月29日(金)~2014年9月11日(木)
エプサイトギャラリー・林朋彦写真展「東海道中床屋ぞめき」詳細

「個展なんてやるのも初めてだったし、雑誌の撮影をやっていたので、自分の写真をプリントしたものを、ひとに見せるのはしたことがなかった。すごい不安があった。思いのほか、反響があった。これ一回限りでやめようと。で、つぎ何やろうかなっと思った。なんか床屋さんが気になっちゃって、ふつうに街を歩いていても(気になる)」

私「ハッハッハッ…」と笑ってしまう。楽しい。
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林朋彦写真集『東海道中床屋ぞめき』

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『ぞめき』ってなに?

会場には林朋彦写真集『東海道中床屋ぞめき』があった。
私「あそこのテーブルに置いてあったんですけど、ここで展示されている作品が写真集になったわけですね」

林さん「まったくあんな本なんて、作ろうとは思わなかった。これで写真集を作らないんですか?っていう声をよく聞いた」

「自分が面白いと思っても、他人からどう思われるかわからないじゃないですか。けっこう反響があったから、つくっちゃおうと思って」

私「東海道?床屋さん?と思って、目に止まって。え~なんだろうって」

林さん
「タイトルが語呂よくおさまって」

私「“ぞめき”?」

林さん
「よく言われるんですけど。『ひやかす』という意味なんです。落語で『二階ぞめき』という話がある…」
林さんが『二階ぞめき』のストーリーを説明してくれる。

「“ぞめき”って面白いなって思って」

“ある若旦那は吉原通いが大好き。吉原に行かないようにするため、自宅の二階に吉原そっくりの部屋をつくって「ひやかし」ができるようにした。大喜びの若旦那ははたして….”
(参照:落語『二階ぞめき』Wikipedia)
落語『二階ぞめき』Wikipediaページ

エプサイトの個展に行ったお客さんのなかにも、“ぞめき”ってなに?って言うひとが多かったそうだ。



私「床屋さんの写真はどれもカラフルで、レトロだし」

林さん
「あんまりレトロ調は出したくなかった。なるべく安っぽい色を出したいなぁと思って」

私「安っぽい色?」(ゲラゲラ笑ってしまう)

林さん
「色はそんなにいじっていないですよ」

私「そのままの色、撮ったままの色なんですね」
「この床屋さんのシリーズは続けていくのですか?」

林さん
「はい、実際に続けているので」

私「東海道でなくて?」

林さん
「ほかの各地で」
「旅行行ったりしたときに、ちょっと気になるところがあったら、あとで行って撮らせてもらったり」


林さんの“ぞめき旅”は続くのだ!




一通り、お話を聞いた。
でも、また聞いてしまう。

私「なるほど~、床屋さんなんですね。さっきも聞いたかもしれないんですけど、床屋さんを撮る理由って?皆さんに聞かれません?」

林さん
「20代の頃から、床屋さんとか映画館とかの外観やなかに入って撮っていた。シノゴ(大判カメラ4×5in判)とか持っていって。それはなんの作品にもならなかったんですけど」

私「そういう昭和な、レトロな雰囲気に惹かれて」

林さん
「床屋さんの外観が気になる。カタチがいいというか」
「レトロっていうか、カタチがいいんですよね」

私「カタチ」

林さん
「クルマでも昔のクルマのほうがカタチがいいじゃないですか」

大きくうなずく私。

林さん
「カタチがいい。レトロなんて、しないでよって思う」

林さんの写真展を楽しみにしているひとたちがたくさんいる。
『ぞめき』作品は続いていくのだ。


林さんへ。
お忙しいところ、インタビューのお時間をいただき、
ありがとうございました。
とても楽しかったです。
(ガッティ)

「東海道」、「ぞめき」。
広重、浮世絵がすきな私はこのワードに惹かれた。
「なんか気になるんだよね」
その気持ちがシャッターを押す。
写真家の素直な気持ちを聞けた。
それがうれしかった。
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