万年筆と紙の“繊細な関係”
10/9(月祝)、銀座伊東屋。
今日は万年筆メーカー LAMYの新製品発表会
山中俊治さんトークイベントにやってきた。
ラミーLAMY
伊東屋
まだちょっと時間があるので、
1Fの『DRINK』というレモネードのお店で一休み。
万年筆のデザイン画が面白い!
トークイベントがはじまる。
まずは山中さんのプロフィール紹介だ。
いままで描いてきたデザイン画がスライドに表示されていく。
LAMYのカリグラフィーペン。
通常の万年筆より、ちょっと長い。
山中さんは最初、このカリグラフィー用ペンを使っていた。
ここ5,6年はSafariでスケッチを描いている。
日産のクルマのデザインに始まり、
パナソニックの掃除機、携帯…。
どこかでみたことのあるものばかり。
エアレースの日本を代表するパイロット、室屋義秀さんの飛行機、
そして義足や照明器具、腕時計、ロボットのデザインまで。
(へぇ~、こんなものまでデザインするのか…)
そのなかでも驚いたのは、電車の自動改札機のはなし。
山中さんは、自動改札機のSUICAタッチ板の傾き 13度を考えた人なのだ。
デザイン画が次から次へと紹介されていく。
アイデアのかたちを作っている鉛筆、ペン、万年筆の線を見るのが楽しい。
山中さん
「万年筆で描くと、ボールペンよりもカスレ具合がちがう。
インクで紙のうえに描くと、ボールペンよりも、
スピードがちがうので、もっと繊細に紙との関係が生まれる。
かすれたり、たっぷりとたまったりするのを楽しみながら、
万年筆でスケッチしている」
研究室の卒業生に、蝶のスケッチを贈った。
ひとりひとり、違ったスケッチなのだ。
卒業生の人数分、昆虫が飛んでいるところ。
「みなさん、飛んでください」という感じで描いた。
眼で描くもの、手で描くものではない
日経デザインの連載のなかで、
(利き手でない)左手で描いた、鶏のスケッチ。
山中さんは左手で描いた。
スケッチは、眼で描くものであって、
手で描くものではない、ということを解説するためだ。
このようなデザイン画のほとんどを
LAMY Safariで描いている。
Safariで機能美を知った
山中さんの大学の研究室では、学生たちとSafariを分解している。
山中さんとラミー・サファリとの出会い…。
初めて出会った二十歳のとき、
「少しも速そうじゃないのに、かっこいい」
と驚いた。
何度かその売場に見に行ったあげく、崖から飛び降りるつもりでその万年筆を買ったそう。
そして、Safariをいろいろ調べているうちに、機能美とはどういうものかを気がついた。
あらゆるパーツが無駄なく、目的のためにできていること。
それがプロダクトデザイナーになるきっかけのひとつだった。
山中さん
「まずはクリップ。とてもシンプルで機能的。この率直さに惹かれます」
「グリップは三角形。親指と人差し指が当たるところがえぐれている」
「(軸の部分に)平面をつくっているのは転がらないため」
「LAMY Safariは、もともと中学生、高校生に正しい書き方を教えるという意図で開発されたそう。その意味でも合理性があって、なぜそういうカタチをしているかを説明できる」
山中さんはプロダクトデザイナー。
作り手側から、ラミーの万年筆の合理性を読み解いていく。
わたしは万年筆は描き心地にだけ注意が向いていた。
このお話を聞いて、「どうしてこのカタチになっているか」を気にしようと思った。
デザインが気になると、万年筆がもっと面白くなる気がした。
aionの試し書き
インクが入っていなかったので、つけぺんして試し書き。
青インクで描いた。
スルスルと書き味バツグンだ。
ローラーボールは、ボールペンと万年筆のあいだの書き味。
ちょっと不思議な感触で、描くのが楽しくなる。
LAMY aionは、銀座伊東屋で試し書きできます。
一度、書いてみて。
LAMY aion(ラミーアイオン)
カラー:ブラック/オリーブシルバー
万年筆 10,000円(税別)
ローラーボール 9,000円(税別)
ボールペン 8,000円(税別)