クルマの神様 水野和敏さんの話を直接聞ける!
わたしが好きなクルマの雑誌『ベストカー』。
 ただの新車スペック紹介だけでなくて、
 クルマから世の中が見えるような紙面。
 
ほかの車雑誌とちがう。
 だからつい手にとってしまう。
その『ベストカー』のシークレットイベントで、
 クルマの世界で超VIP、
 泣く子もだまる水野和敏さんのトークショー。
水野和敏(みずの かずとし)さん。
 世界最高水準のクルマをつくる唯一の日本人。
日産のスーパーカーGT-R開発の人、クルマの世界で超有名人なのです。

水野さんは、いつも『ベストカー』で辛口コメントで、
 バシバシ新車を斬りまくってる。
 きっとトークショーでもすごいことになるんだろう。
 ベストカーのYouTubeチャンネルを見ても、
 ほんと気持ちいい位、言い切ってくれるのがわかる。
先月のベストカーイベントでのテリー伊藤さんもそうだが、
 わたしは自分の意見をはっきり言えるひとを尊敬してしまう。
さて、イベント当日。ドキドキ。
場所は講談社本社。
 
本館1F、2Fに吹き抜け、中にはこんなアトリウムが拡がる。びっくり。
 
1Fロビー。女の子は「なかよし」読んでる子多かったなぁ。
 ほかにも講談社の本、雑誌がずらり展示されてた。
 
集合時間になった。本郷編集長の先導で、イベント会場へ移動。
 ツアコンについていく旅行気分だ。
 知らないところはワクワクする。
 出版社にくるのも初めて。
外からじゃわからないが、講談社の中は、まるでホテルみたい。
 社員食堂も立派。まるで高級レストラン。
 そんな講談社ツアーをしながら、歩いていくと、
 ホテルの宴会場のような部屋のひとつに通された。

ベストカー本郷編集長からイベント前のご挨拶。(写真上)
 テリー伊藤さんのイベントとはちょっと様子が違う。
 編集長もどうもかたい。緊張を感じる。
 編集部の方々も表情がかたいではないか。
 水野さん、やっぱりこわい人なのか。
 会場の雰囲気もちょっと張り詰めた空気。
トークイベントが始まった。
水野さん登場。ニコニコして上機嫌だ。
 (よかった。最前列にいるのでほっとした。)
 なんだ、やさしそうな人じゃないか。

水野和敏さんって、こんなひと。
ニッサンのレース参画の会社NISMOでは、チーム監督兼チーフエンジニアに就任。
 デイトナ24時間レース、ル・マン24時間レースなどを戦った。
国内耐久メーカー選手権3年連続チャンピオン獲得、
 92年デイトナ24時間レース総合優勝獲得(特に92年は参戦全レース全勝)、
 90年ル・マン24時間レース5位入賞。
V35型スカイライン、Z33型フェアレディZ 車両開発責任者。
(経歴は、水野和敏公式HP から引用)
詳細は水野さんの公式HPを見てください。
 要は、日産ですごいクルマをたくさん作って、
 レースでも監督して国内海外のレースで優勝するようなすごいひと。
日産のゴーンさんから仕事を直接頼まれるのだ。
イベント終了して、家に帰ってから水野さんを調べたら、驚いた。
 本も出してるし、講演会もするようなひとだった。
 知らなくてよかった。
 知ってトークイベントに行ってたら、きっとこわくて最前列に座れなかった。
日本のクルマは面白くなくなった。。。

わたしが印象に残った中のひとつは、
 「どうして、ドイツ車がいいのか。」の話題。
ベンツ、BMW、アウディ、VW、ポルシェ。。。
 ドイツには、日本でも人気のメーカーがいっぱいある。
それはそもそも開発の環境がちがうから。
日本の限られたテストコースでは、
 山岳部やでこぼこ、雨や強風、吹雪の中の走行などがなかなか難しい。
アウトバーンでの試験走行の様子もおもしろい。

日本でのクルマの開発は、法律の違いも大きく影響している。
 試験走行もアウトバーンでは制限速度もない。
 そんな試験走行は日本ではできない。
ドイツでは日常で高速道路のようなスピードを出せる。
 300Km/hで得意先を回るひともいるのだ。
 仕事の効率のために、速いクルマが必要とされる。
 それが仕事のステイタスにもなる。
(やばい、水野さんと目が合ってる。。。質問されたらどうしよう?
 技術的な話もわかったようなフリを、うなずきをしていたからか。
 私は変なひきつった笑いを浮かべてた。。。)
 
水野さんはアリゾナでも試験走行したそうだ。
 なぜ、アリゾナでするのか。
これは湿度と関係している。
 アリゾナは湿度3%とかの日もあるようで、空気が乾いている。
ラスベガスやフェニックスに飛行機の直行便がないのもこの理由。
 ジャンボや777のような大型飛行機は、離発着できない。
 機体がもち上がらないのだ。
 737とか小さい飛行機しか飛べない。
水野さんの開発チームは、従来の日本のメーカーとはクルマづくりがまったく違っていた。
日本にしかできないクルマづくりを。
ヨーロッパのメーカーにできないことが、日本メーカーにはできるってことも言ってた。
 「匠(たくみ)」の技のこと。

日本車の強み 軽自動車はエコロジーの象徴。
日本にしかできないことをやらないといけない。
軽自動車をどんどん海外に向けて出していけばいい。

クルマ開発での自分の仕事に対する姿勢については、
わたしとみなさんとの違い、
それは、自分の開発したクルマに楽しいとかの感情をもたないようにしているところ。
乗って楽しいとかは、それを乗ってくれるみなさんが感じること。
開発の側の自分は感じてはいけない。
水野和敏の理想のクルマ、目指すところは。。。

会場からの質問に対してはこんなことを。
 フェラーリやポルシェにつくれない、最高のバランス、調和のクルマをつくりたい。
大切なのは、調和とバランス。

クルマ開発での自分が大切にしている思いも語ってくれた。
新しい道具を提供して、別の世界の楽しみを生む。

僕の理想は、ひとと一体になったスポーツの道具を作りたい。

熱い説明が続いた。ハンドルをにぎってる。
僕は、ジャーナリストでなくて、エンジニア。僕がつくるのは、うわべじゃなくて、本質。
水野さんは、クルマだけでなく、仕事に取り組む上で大切なことも教えてくれた。

(上の写真:今回のイベントでの自己ベストショット。
 ピントずれてて、顔もはみ出してるけど、
 水野さん楽しそうでしょ。
 OLYMPUS XZ-10で撮影)
今回のイベント、意外だったのはクルマの話だけではなかったこと。
クルマは、ひとりで作れるものじゃない。
 たくさんのエンジニア、営業部隊、宣伝部隊。
ただクルマの技術分野のエキスパートだけだったら、
 この水野さんはここまで有名にはならないように思う。
クルマメーカーで働いてきた経験は、
 たくさんの人たちをまとめてチームにすることの難しさを、
 誰より感じてきたんだろう。
ことばの統一(組織)じゃない。
大事なのは、思考の統一(チーム)なんだ。
この記事を書いてて、気づいた。
 「シコウ」は思考だし、志向かもしれない。
 未来に向うところ、目標、志を同じにすること。
お互いに信頼して、相手を尊重して、仕事をする。
 これは、クルマの世界だけではない。
 日頃、仕事で関わる人たちに対する、
 自分の姿勢に役立つ気がした。
「3年で・・・」
イベント最後に水野さんが言った。
「わたしは、3年でヨーロッパを抜くクルマをつくる。」
そのとき、会場にいたひとたちが静まり返った。
きっと、世界最高水準の日本車をもうすぐ見れる。
 そのクルマの横には、水野さんが立ってるだろう。
 想像するだけでたまらない。
水野和敏さんはやっぱり憧れのひとだった。
イベント会場が終わって、講談社を出た。
 今日のイベントのベストカー編集部の皆さんの緊張感がわかった気がした。
 わたしの想像以上に、編集部のみなさんにとっても、水野さんは憧れのひとなんだって。
 編集部の方々がなんか前回イベントの印象より若かった。
 そう、みなさんが少年の目にもどっていた。
水野さんは、飛行機や鉄道などいろんな乗り物の中で、自動車を『自由な乗り物』って。
クルマは『自由』(の象徴)なんだ。
イベント終了後、ベストカーの編集部の方々に写真を撮っていただいた。
 緊張。ほんとうれしかった。
 水野さんが書いたホワイトボードを入れて、写真の構図をとってもらってる。
 水野さんの板書、これ貴重なのがわかるでしょ。
 いい記念になりました。
 水野さん、ベストカーの編集部のみなさん、ありがとうございます。

水野和敏さんは、300Km/h以上の猛スピードで、
 未来へ走りぬけてた。そんな気がした。

イベント中の1分スケッチ。(ボールペン)
 水野さんに気づかれそうでドキドキした。
 似てなくても書くのが習慣になってきた(笑)。

