4月11日(木)、三菱一号館美術館。
今日は開催中の「ラファエル前派の軌跡」展 ブロガー特別内覧会だ。
ラファエル前派って何?
何の予備知識もなかった。
強いていえば、ターナーの水彩画を見れるなっていう程度。
会場に入るとすぐターナーの水彩が並んでいた。
そもそもラファエル前派って?
この展覧会の舞台は、今から150年ほど前、19世紀後半のイギリス。ヴィクトリア期後期。
ロセッティ、ミレイ、ハントの3人の美術大学の学生が新しい表現を求めた。
それまでイタリア・ルネサンスの画家ラファエロ(英語読みラファエル)をお手本にしていた美術大学に対して、簡素で誠実な表現を目指した。
ラファエロより前の時代を目指したから「ラファエル前派」。
1848年に結成された。
3人は社会思想家ジョン・ラスキンに影響を受けた。
そのあと、バーン=ジョーンズとモリスがラファエル前派の第2世代となって、
「生活と芸術を一致させる」ことを目指して、のちに「アーツ・アンド・クラフツ運動」へとつながっていく。
~三菱一号館美術館「ラファエル前派の軌跡展 見どころガイド」参照
登場人物の説明を受けて、ようやく展覧会の概要がわかった。
日頃、チャコールやパステルを使って絵を描くので、
同じ画材の絵が大好きだ。
下の絵も女性の柔らかな輪郭が素敵だ。
会場を進む。
展示の見せ方でぐっと楽しくなる。
今回の展覧会の主役だ。
女性のポートレイトをいつもスケッチしているので、
とても参考になる。こんなふうに描けたらいいのに。
上品な顔だち、美しい人物のバランス。
このお母さんと娘の絵も好きだ。
ラスキンの模写も素晴らしい。
記念撮影のスペースもある。
つらい気持ちが飛んできた…
一番印象に残ったのは「慈悲深き騎士」だった。
甲冑を身にまとった騎士を、キリストが抱き寄せている。
兄弟を殺された騎士は、敵に復讐する絶好のチャンスに敵を許した。
絵の右奥には馬に乗って去っていく敵の姿が見える。
騎士がキリスト像の前で祈りを捧げていると、動くはずのない彫像が彼を抱きしめ、祝福の口づけを与えた。
ある文学作品をもとにした奇跡の場面だそう。
水彩で描いているのだけど、まるで油彩。
いままでこんなシーンの宗教画をたくさん見た。
教科書を見ているようで興味がなかった。面白くなかった。
けど、この絵は違った。少なくとも僕には。
絵の前に立つと釘付けになった。
敵を許した騎士の目にはつらそうな光が見える。
キリストの手の甲には杭の穴。痛々しい。
キリストの声が聞こえるようだ。
「つらかったね。悔しいね。それでも許すのだ。偉かったね。よくやったね….」
慈悲の気持ちが絵からにじみ出ている。なんともつらくて悲しい気持ち。
それが痛いほど感じる。
好きな絵を探して歩いていく…
これも大好きだ。
椅子や壁紙も
生活のなかに美しいものを取り入れることの大切さをおしえてくれる。
絵を見ることは体験することだった
三菱一号館美術館の年間パスを最近買った。
いつも、知っている大好きな画家の絵が見れるとはかぎらない。
でも、知らない画家の絵を見ることも楽しいことなんだと今回思った。
知らないアーティストの作品に出会う。
美術館で絵を見ることは体験すること。
知らないから面白い。
どのドキドキ感を味わいに行きたい。